スマートワーク 2026年05月27日

創業76年の電気工事会社社長が、AIを使って「会社のインフラ」を総入れ替えするまでの1ヶ月の記録

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電気工事の現場は、常に時間と段取りとの戦いです。


私たちは1949年の創業以来、76年という長い歴史の中で、地域のインフラを支える技術と信頼を積み上げてきました。


建設業界には、昔から変わらない「良さ」がたくさんあります。職人の確かな技術、現場での息の合ったチームワーク、先輩から後輩へと受け継がれる経験。これらは絶対に無くしてはならない、私たちの誇りです。


しかしその一方で、「昔からの慣例だから」という理由だけで、今の時代には合わなくなっている習慣や仕組みがあるのも事実です。膨大な紙の書類、複雑な連絡の手間、効率の悪い段取り……。


「伝統は大事に守る。けれど、変えるべき慣例は恐れずにアップデートしていかなければ、これからの時代に会社を守り、若い世代に技術を繋いでいくことはできない」


そんな想いを抱えていた私が、自社のスマートワーク化への大きな一歩を踏み出したのが、去年の12月の後半のことでした。


課題とジレンマ


当時、現場の効率化のために業界専用のアプリを使ってはいましたが、「もっと現場のやり方に100%フィットした、直感的なシステム(工程表をドラッグ&ドロップで動かせるようなもの)があれば、みんながもっとラクになるのに……」というジレンマが、私の中にずっとありました。


そんな時、ふとしたきっかけでGoogleの最新AIについて調べていて、画面の前で鳥肌が立ったのです。


「……待てよ、今のAIってこんなに凄いことになっているのか?」


「これなら、プログラミングのコードを自分で書かなくても、うちの会社専用のアプリが作れるかもしれない」


そう直感した私は、すぐにGoogleのAI「Gemini(ジェミニ)」を触り始めました。最初は専門用語ばかりで、正直全然わかりません。


独学の2週間


しかし、意地でも諦めたくなくて、YouTubeの解説動画をメインに、貪るように勉強を続けました。


仕事の合間、ちょっとした隙間時間を見つけては画面を開き、Geminiに質問を投げ、実際に手を動かしてみる。通常業務をこなしながら、とにかく必死に触り続けました。


そうして、仕事中に泥臭く触り続けること2週間。


「あ、これはただの流行りモノじゃない。うちの現場の古い慣例を本気で打ち破る武器になる」


最初は半信半疑だったものが、自分で2週間みっちり手を動かしたからこそ、絶対にできるという「確信」に変わったのです。


よし、Google Workspaceを導入して、本気で会社のインフラを変えよう。


インフラ大手術


そう意気込んだ私に、アプリ開発の前に、もっと地味で、もっと恐ろしい「巨大な壁」が立ちはだかりました。大塚商会さんのサーバーからGoogle Workspaceへ移行するという、インフラの大手術です。


サーバーの移行なんて、普段からやり慣れている専門の人からすれば、なんてことない簡単な作業かもしれません。しかし、いくら多少の知識があるとはいえ、自社の本番システム、しかも一歩間違えてメールが数日間でも止まれば業務が大混乱に陥るという状況です。動かす側のプレッシャーは、全くの別物でした。


「DNS設定? MXレコードの書き換え? なんだそれ……」


正直、スタート地点では、どこをどう触ればいいのか完全に手探り状態でした。普通ならここで挫折して業者に丸投げするレベルです。


でも、私には24時間いつでも即答してくれる最高のコンサルタントがいました。Geminiです。


  • 「大塚商会のサーバーから移行したいんだけど、次は何をすればいい?」
  • 「このエラー画面が出た。どういう意味?」

仕事の合間に、エラー画面が出るたびにGeminiに噛みつき、指示通りにパズルのピースをハメていきました。正直、生きた心地がしない大手術でした。


しかし……ひとつのアドレスも消すことなく、無事にGoogle Workspaceへの移行を完全成功させたのです。


自社専用アプリ誕生


開発した「案件マスタアプリ」の画面。ステータスが一目で直感的に分かります。

インフラが整い、ついに念願の自社専用アプリ(AppSheetを使った案件マスタアプリ)を形にすることができました。


スマホの画面の中にうちのロゴが入リ、「着工前」「着工中」「完工」ときれいに並んだ画面を、私は「また社長が何か始めたよ……(笑)」と見ていた社員たちに見せてみました。


「社長が作ったんですか?」という驚きよりも、彼らから返ってきたのは、


「……AIって、本当にそこまですごいことになってるんですね」


という、テクノロジーそのものへの純粋な感心の声でした。


プログラミングの知識がなくても、AIを使えば、わずか2週間で現場のアプリが形になってしまう。その事実を目の当たりにして、社員たちも「これ、本当にすごいな」と静かに感動してくれたようでした。


「社長の思いつき」だと思っていたものが、一気に「これは本気でうちの現場が変わるかもしれない」というワクワクに変わった瞬間です。


昔からの良き伝統は守りながら、古い習慣は最新のテクノロジーでスマートに塗り替えていく。ここが、私たちの新しいスマートワークのスタートラインになりました。


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第2話「ノーコードの限界と独自Webアプリへの大転換(ドラッグ&ドロップ人員配置の感動)」を続けて読む


代表取締役 蓮池智雄
REPRESENTATIVE DIRECTOR
代表取締役 蓮池 智雄
1949年の創業以来、地域と共に歩み、2024年に75周年を迎えました。「人と社会に愛される企業へ」の経営理念のもと、全従業員にiPadを支給するなどの「スマートワーク・IT化」を率先して推進。危険と背中合わせの現場を預かるからこそ、社員とそのご家族が物心両面で満たされる最高に温かい企業環境づくりに本気で挑戦しています。